一人一人の物語にあった着物を。

「小紋が欲しいんです」

よく初めて来店される方で単刀直入に「コレが欲しい!」

と言って下さる方がいます。

 

ここで普通なら「こちらが小紋ですよ!」と小踊りしてご紹介するところ

「なぜ小紋が欲しいのですか?」

と少し話を深掘りさせてもらいます。

 

それはその方にとって小紋がベストな答えなのか

僕も、お客様も分かっていない場合が多いからです。

 

アメリカで着物が着たい。 

以前こんなお客様がおられました。

なんでも近々結婚して、来年にはアメリカに移住するかもしれないとの事。

そこで、着物を着て生活できたらきっと楽しいだろうなと思っている事。

日本にいるうちに着方をマスターしておきたいという事。

すでに振袖や訪問着は自分のものをお持ちで

カジュアルに着れるものとして調べたら「小紋」を知り、欲しくなったという事。

 


話をお伺いしたうえで

僕はアメリカで着物を普段に着るなら絶対洗える方がいいですよ!

と木綿の着物をご提案しました。

 

やっぱり自分が日々着ていて気になるのは着物のメンテナンスですから

ことアメリカに行ったりしたら

正絹のメンテナンスなんてできるところは本当に限られてきます。

絶対に自分で洗えるものがいい。

 

そして、もしアメリカでパーティー(アメリカといえばホームパーティーみたいな安直なイメージ)に参加するような事があれば持っている振袖や訪問着を着れば良くって、それは帰国のタイミングでクリーニングすれば良いですよ〜とお伝えしました。

 

そんな話を1時間ぐらいしていたら俄然自分で洗える着物に興味を持たれたらしく、そこで初めて洗える着物ってこんなのがありますよ〜というご紹介をさせてもらいました。

 

自分のマイTPOを考える。

何が言いたいかと言うと、今から着物を着たい!という人が

どういう場面で

どういう着物を

どう着たいのか

という話をしっかりお聞きする事は大切ですという事です。

 

この方の場合は

アメリカで

普段に着れる着物を

気軽に着たい

でしたので、その答えは「木綿や綿麻の着物」にたどり着きました。

素材もポリエステルではなく「自然素材」

 

もしかしたら人によっては

アメリカで

華やかな場所で着れる着物を

上品に着たい

になるかもしれません。この場合は「小紋や付下げ」になるかもしれません。

 

着物には初心者向けに分かりやすいようにTPOが用意されています。

フォーマルには訪問着や留袖。

カジュアルには紬や小紋など。

一見すると分かりやすい。

 

でも実はもっと選択肢があり、それを教えてくれない不親切さもあります。

なので重要なのは着物の「マイTPO」です。

 

小紋が欲しい!と言われて

小紋をオススメしていたら小紋を買ってくれたかもしれませんが

アメリカでしかも普段で着たいという話を聞いていなければ

きっとご本人さんはメンテナンスに困ったのではないかなと思います。

 

ちょっとお節介かもしれませんが

一人一人の物語にあった着物が存在する以上

そこを蔑ろにはできません。

 

あ、でも本当に正絹の小紋が欲しかったら「それでも小紋下さい!」とズバッと言って下さいね(笑)

 

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