着物と浴衣の違いは?
この質問は特に夏の時期に多いのですが
よく着物を着る人、あまり着物を着ない人関係なく
聞かれる質問です。
それでは逆に質問です。
こちらの女性が着ているのは着物ですか?浴衣ですか?
写真をよーく見てお答え下さい。
はい。
正解は「着物」です。
では続いてこちらの写真をご覧下さい。
同じ柄ですが、これは着物ですか?それとも浴衣ですか?
正解は「浴衣」
こうお答えになる方が多いのではないでしょうか?
もちろん浴衣というお答えで正解です。
ではなぜ
同じ柄、同じ素材のものを着ているのに
異なった答えになるのでしょうか?
着方の違いが名前を変える。
ある程度着物の知識がある方はきっと写真のここを見てお答えになったんだと思います。
そう「衿元」です。
左の写真は衿が見えていますよね。
右の写真は衿が見えていません。
ここで見分けて判断された方がほとんどだと思います。
そして、もちろんもたはんもそう判断します。
結局のところ何が言いたいかというと
着物と浴衣の違いは着方の違い。
襦袢を着ているか着ていないかの違いということになります。
これが一番分かりやすいのではないでしょうか?
「じゃあ絹の着物を襦袢なしで着たら浴衣になるんですか?」
なんて質問が飛んできそうですね。(僕もしちゃいそう)
この上の理論でいくと、絹の着物も浴衣になってしまいます。
例えば訪問着で、夏用の涼しげな訪問着。
これを襦袢なしで着たらどうなるのか。
答えは
めっちゃ汚れてクリーニングにお金がかかります(涙)
そもそも襦袢には肌着としての役割があり
上物である着物を汚さないように汗などを吸って、表地にいかないようしてくれています。
高価な着物をあえて汚すように着る方は少ないと思います。
もちろん汚れても平気!という方は夏の正絹着物を浴衣として着て頂いてもいいですが
おすすめは絶対にしません。
汗だくになった夏着物は想像を絶します。
なので、洗いやすい生地のもの、木綿、綿麻、ポリエステルなどの生地が
着物としても浴衣としても2WAYで着やすいと思います。
着物と浴衣のそもそも論
そもそも着物はかつては日本人の日常着でした。
そしてその日常着に対し浴衣はというと、その歴史はさかのぼること平安時代。
湯帷子(ゆかたびら)と言ってお風呂上がりに水分を拭う役割が始まりでした。
当初は麻で作られる事が一般的でしたが、綿が普及したことによって
綿生地による浴衣となり、それが江戸の頃から夏の外出着として定着し今に到る訳です。
ちなみに今夏を彩っているカラフルな浴衣達は歴史が浅く
有名な「きものやまと」さんが5色展開の浴衣を出したのが大ヒットし
そこからいろんな色、デザインの浴衣が作られるようになったと言われています。
着物は着物。
浴衣は浴衣。
こんな考えも薄れつつあり、浴衣が着物と区別なく着られる日が近づいてきています。
浴衣を着物風に着るという流れは、浴衣の地位向上にも一役買っているという事です。