毎年恒例!入卒着物問題に思う事

卒業式の多い時期。
またSNSで
「着方が〜」
「その着物は〜」
中には
「着物を来て卒業式なんて目立ちたいだけ」
という羨ましいだけじゃないの?
という着物論争がプチっと巻き起こっています。
最後の「目立ちたいだけ」みたいな話は
バブル崩壊後の「着物は贅沢品」という考えに似ていて
着物はあっても着られない時代のようで
ちょっと嫌だなと思います。
現実の世界はというと
ほとんどの方の着物は
レンタルか母の着物を頂いたという方が大半なので
決して贅沢ではありません。
いい思い出に水を差さないで欲しいと切に願います。
着崩れる原因は?
ただ確かにちょこちょこ目立つのは着物の着崩れ。
これにはいくつかの問題点があります。
その問題点とは
- 着る人が着物を着慣れていない。
- 着物の寸法があっていない。
- 腕のいい着付け師さんの減少。
などです。
最初の「着物を着慣れていない」問題は
着用者目線、そして子育て中の親の目線に立つと
仕方ないのかなと思います。
なかなか小さい子どもがいて
働きながら自分の時間を作って
着物を着るという事は難しいものがあります。
次の「着物の寸法があっていない」問題は
結構難しい問題です。
親の着物であれば
身長が近かったり
時間さえあればお直しがきくのですが
レンタルになるとそれは難しく
しかもネットレンタルだと
試着もしていない状態からの
即日着付けパターンも多く
なかなかハードです。
そして「腕のいい着付け師の減少」
これは深刻です。
着物の着付けは
自分で着るよりも難しく
体型の違う人に
寸法の違う着物を着せるのは至難の業。
しかも寸法の合わない着物を着せていれば
難易度もグッと上がるので
一発本番の当日で四苦八苦して当たり前。
結果として
着崩れを起こしたり
おはしょりが短い着付けになった状態が
SNSにアップされそれが非難の的に…。
もたはんとしては
今回の問題は着物以前に
「他人が他人の人生の節目にとやかく言う事がよくない」
それだけです。
もたはんにも着付けのお仕事はたくさんきます。
レンタルした訪問着の方も
お母さんの着物の方も
リサイクルで買った着物の方も
いろんな方がいます。
中には訪問着に名古屋帯を締めたいという方もいます。
(通常は袋帯)
ですがどんな着物の方にも
着物の一般的な着方をお伝えした上で
着付けはお受けします。
それは着物を着て
卒業式や入学式に参加して
お子さんの成長を祝おうという気持ちを
全力でサポートしたいからです。
少し大変でも忙しくても
着物を着てくれようとする姿に
全力で拍手です。
もちろん着崩れてしまう事は
本当に避けたい事です。
さらに言えば
着崩れず楽に着てもらう事がベストです。
その最善を目指して
着付けする側がもっと向き合わないといけないなと
今回の卒業式の着物問題を見て思いました。
まあこんな事を言う人は
本当に一部の人で
大半の人は着物っていいな〜と思っています。
普段着に合わせて人生の節目の着物も
機会を逃さずにぜひ着て下さいね。